創業融資の個人保証とは?免除制度やリスク回避策を徹底解説
- 船橋創業融資相談オフィス
- 6月12日
- 読了時間: 12分

「創業融資を受けたいけれど、個人保証って必要なの?」
そんな疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
創業期の資金調達として活用されることの多い創業融資ですが、申請時に個人保証(経営者保証)を求められるケースがあります。この個人保証を安易に引き受けてしまうと、万が一、事業がうまくいかなかった場合に、経営者の個人財産まで責任を負うリスクが生じます。
一方で、近年では「経営者保証を免除できる融資制度」も整備が進み、条件を満たせば、個人保証なしで融資を受けることも可能になってきました。たとえば、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金やスタートアップ創出促進保証制度(信用保証協会)などがその代表例です。
ただし、これらの制度には要件や注意点があり、正しい知識と準備がなければ利用できません。
この記事では、次のような疑問にお答えしていきます。
個人保証とはどういうものか
創業融資で個人保証が必要となるケース
保証を免除できる制度や条件
保証を避けるために創業時にできる準備とは?
さらに、記事の最後には創業融資に強い専門家による無料相談のご案内もあります。リスクを抑えて安心して創業を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
個人保証(経営者保証)とは何か
創業融資を検討していると、「個人保証」や「経営者保証」という言葉を耳にすることがあります。これは、会社が返済できなくなった場合に、経営者個人が責任を負って返済することを約束する仕組みです。
たとえば、株式会社など法人が金融機関から融資を受けた場合、法人の資産だけではなく、代表者個人の財産でも返済する義務が発生するのが「個人保証付き融資」です。この保証は、金融機関から見れば「万一の担保」として機能するため、特に創業初期や実績がない企業では、個人保証を求められることが多いのが実情です。
しかし、個人保証には以下のようなリスクが伴います。
万が一、事業が失敗した場合に、経営者の自宅や預金、車などが差し押さえられる可能性がある
保証を履行すると、信用情報に傷がつき、今後の融資や再起業が困難になることもある
経営判断にブレーキがかかり、思い切った挑戦ができなくなるケースもある
このように、個人保証は経営者にとって大きな心理的・経済的負担となりうるため、近年ではその見直しが進んでいます。
実際に、金融庁が主導する「経営者保証に関するガイドライン」では、一定の条件を満たせば保証なしでも融資が受けられるように配慮すべきとされています。
つまり、現在では「個人保証は絶対に必要」というわけではなく、制度や準備次第で避けられる可能性も十分あるのです。
創業融資で個人保証が求められるケース
創業融資と一口に言っても、その種類や申込先によって個人保証が必要となるかどうかは異なります。ここでは、主な融資制度ごとに、個人保証が求められるかどうかの傾向を整理しておきましょう。
日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」などは、無担保・無保証人で利用できる創業支援の代表的な制度です。つまり、経営者個人の保証を求められない場合が多いという特徴があります。
ただし、以下のような場合には例外的に保証が必要になることもあるため、注意が必要です。
融資希望額が極端に高額な場合
収支計画や自己資金の裏付けが不十分な場合
創業の準備状況が不明確な場合
つまり、「審査次第では個人保証を求められる可能性もある」ことを念頭に置いておく必要があります。
信用保証協会付き融資(制度融資)
一方、地方自治体や民間金融機関を通じて利用できる信用保証協会付きの融資は、法人・個人事業主いずれでも利用できる制度ですが、原則として法人の場合は代表者の個人保証が必要とされています。
ただし、近年はガイドラインの整備により、「一定の条件を満たせば保証不要」とするケースも増えてきています。
また、個人事業主が申し込む場合は、そもそも経営者=事業主であるため、形式的に「保証人」は不要であることが一般的です。
銀行など民間金融機関の創業融資
地方銀行や信用金庫などの民間金融機関が提供する融資では、原則として代表者の個人保証を必要とするケースが多いのが現状です。
ただしこちらも、今後は「保証なし融資」の推進が進むと予想されており、財務基盤が健全であることや、法人と経営者の資産が明確に分離されていることなどが評価されれば、保証免除の対象となる場合もあります。
経営者保証ガイドラインと創業時の免除制度
「創業融資=必ず個人保証が必要」という時代は、すでに過去のものになりつつあります。現在では、経営者保証を不要とする方針が国レベルで進められており、制度としても明文化されています。
経営者保証に関するガイドラインとは?
2014年、金融庁・中小企業庁・全国銀行協会などが策定した「経営者保証に関するガイドライン」は、個人保証の慣行を見直すために作られたルールです。
このガイドラインでは、以下のような条件を満たす場合には、金融機関が経営者保証を求めないことが望ましいとされています。
法人と経営者の資産が明確に分離されている
法人の財務状況が健全で、財務書類も適正に整備されている
融資の返済能力や計画に一定の信頼性がある
つまり、しっかりとした経営管理ができていれば、創業時でも「個人保証なし」の融資を受けられる可能性があるということです。
経営者保証免除特例制度(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫でも、「経営者保証免除特例制度」という制度を設けています。この制度を活用すると、一定の要件を満たす創業者や中小企業は、代表者個人の保証を免除してもらえる可能性があります。
具体的には以下のようなポイントが要件となります。
記帳・経理が適正に行われている(税理士による支援が有利)
自己資金が一定以上ある
計画的な返済が見込める収支計画が立てられている
法人と個人の資金管理が分離されている
山野淳一税理士事務所では、これらの要件を満たすための書類作成や事前相談を含め、トータルでサポート可能です。
スタートアップ創出促進保証制度(信用保証協会)
2023年には、新たに「スタートアップ創出促進保証制度」が開始されました。この制度では、法人設立前後にかかわらず、原則として無保証・無担保で信用保証付き融資を受けることができるとされています。
起業初期でも、要件を満たせば個人保証なしの資金調達が実現できる環境が整ってきているのです。
個人保証を避けるポイント
創業融資を受ける際に、経営者の個人保証を回避するためのポイントはいくつかあります。正しい手順と準備を行えば、保証を免除された状態で資金調達できる可能性も十分にあります。
以下に、実務上で有効なポイントをまとめます。
1. 公的融資制度を積極的に活用する
個人保証の回避を目指すなら、まずは日本政策金融公庫の新創業融資制度や、スタートアップ創出促進保証制度など、保証人不要を前提とした公的制度の利用を優先しましょう。
これらの制度は、創業間もない個人や中小企業の挑戦を後押しする目的で整備されており、条件さえ満たせば個人保証なしでも利用可能です。
2. 法人を設立して資産を明確に分離する
個人事業のままでは「経営者=事業主」と見なされるため、個人保証を避けにくい場合があります。そのため、株式会社や合同会社など法人を設立し、個人の財産と法人の財産を明確に分けることが重要です。
法人化により、次のようなメリットが生まれます。
経営者保証ガイドラインにおける「資産分離」の要件を満たしやすくなる
財務管理がしやすくなり、金融機関からの評価も向上する
法人名義の取引実績が積み上がるため、今後の融資申請に有利になる
山野淳一税理士事務所では、法人設立の手続きからサポート可能です。
3. 会計・税務体制を整える
金融機関が保証免除の判断をする際、財務状況や会計処理が適切であるかは非常に重要な要素となります。
そのため、以下のような対応をしておくと、信頼性が高まり、保証免除につながる可能性があります。
記帳代行や税務顧問サービスを活用し、月次試算表を作成している
税理士のサポートを受けて正確な財務諸表を提出できる
過去の確定申告・納税状況に問題がない
当事務所では、創業者向けの記帳代行・税務顧問・決算申告サービスも一括で提供しております。創業前後の融資相談から、その後の財務体制構築まで一貫して支援いたします。
個人保証のメリット・デメリット
創業融資の際に「個人保証をつけるべきかどうか」で悩む方は多いと思います。ここでは、個人保証のメリットとデメリットを客観的に整理し、判断材料として役立てていただけるようまとめました。
個人保証のメリット
一見、デメリットばかりに思える個人保証ですが、次のようなメリットも存在します。
融資審査に通りやすくなる可能性がある
→ 個人保証をつけることで、金融機関側は「万が一の回収リスク」が下がると判断し、創業間もない段階でも資金を借りやすくなることがあります。
借入可能額が増えるケースがある
→ 同じ事業内容・資金計画であっても、保証をつけることでより高額な融資を引き出せる可能性があります。
低金利での融資に繋がる場合も
→ 金融機関によっては、個人保証があることを前提に、無担保でも低利での融資を実行しているケースもあります。
つまり、「どうしても今すぐまとまった資金が必要」という状況下では、選択肢として有効な場合もあるのです。
個人保証のデメリット
一方、個人保証には次のような重大なリスクと負担があります。
事業がうまくいかなかった場合に、経営者個人の財産まで差し押さえられる可能性がある
→ 自宅や預金などが差し押さえの対象となることもあり、家族の生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
信用情報にキズがつくリスク
→ 個人保証を履行した場合、個人としての信用情報に事故履歴が残り、住宅ローンやカード審査などにも支障が出る可能性があります。
経営判断が慎重になりすぎる
→ 個人リスクを背負っているため、本来なら挑戦すべき場面でも及び腰になってしまうなど、経営に悪影響を及ぼすこともあります。
このように、個人保証には明確なメリットがある一方で、長期的には経営者自身のリスクが非常に大きいという現実があります。
「できれば保証をつけたくない」「でも融資は必要」という方は、保証を免除できる制度を活用しつつ、金融機関と適切に交渉していくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、創業融資と個人保証に関して、よく寄せられるご質問とその回答をご紹介します。不安や疑問を解消してから、融資申請の準備を進めましょう。
Q1:創業融資は本当に個人保証なしで借りられるのですか?
A:はい、制度によっては個人保証なしで借りられる場合があります。
たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、原則として無担保・無保証人での融資が可能とされています。また、スタートアップ創出促進保証制度のように、信用保証協会付き融資でも個人保証を求めない仕組みが整備されつつあります。
ただし、審査によっては例外的に保証を求められることもあるため、事前に専門家に相談しておくと安心です。
Q2:信用保証協会付き融資では必ず個人保証が必要ですか?
A:ケースバイケースです。
法人が申し込む場合、原則として代表者が連帯保証人となるのが一般的ですが、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、条件を満たせば保証を免除される場合もあります。
一方、個人事業主の場合は、そもそも本人=事業主であるため、改めて保証人を立てる必要はないことが多いです。
Q3:個人保証を回避するためには、どうすればよいですか?
A:以下の3つのポイントがカギになります。
保証なしの制度(公庫や新設の保証制度)を選ぶ
法人設立により資産を分離する
記帳や会計体制を整えて、信用力を高める
特に創業時は「個人保証なし」で進めるチャンスが多くあります。専門家の支援を受けながら制度を正しく選べば、保証なしでの融資も十分に実現可能です。
まとめ
創業融資を検討するうえで、「個人保証」は大きな不安材料になりがちです。しかし、現在では国の方針や制度の整備が進み、正しい制度を選び、適切な準備を行えば、個人保証を免除される可能性が十分にあります。
特に以下のポイントを意識することで、経営者としてのリスクを最小限に抑えながら、安心して創業資金を調達することが可能です。
日本政策金融公庫や信用保証協会の制度を理解して選ぶこと
法人化を通じて資産を分離し、会計の透明性を高めること
経理・税務体制を整え、信頼できる財務状況を示すこと
そして何よりも、制度の内容や審査の判断基準は複雑なため、専門家のアドバイスを受けることが成功の近道です。
「創業融資は欲しいけれど、個人保証のリスクが不安…」という方は、まずはお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
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