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創業融資の据置期間とは?メリット・デメリットと活用のポイント

  • 執筆者の写真: 船橋創業融資相談オフィス
    船橋創業融資相談オフィス
  • 6月5日
  • 読了時間: 11分

創業時に融資を検討している方の中には、「据置期間って何のこと?」「どのくらいの期間を取ればいいのか分からない」と不安に思われている方も多いのではないでしょうか。


据置期間(すえおききかん)とは、借入後すぐに元金の返済を始めるのではなく、一定期間は利息のみを支払い、元金の返済を猶予できる制度のことです。とくに日本政策金融公庫の創業融資では、最長5年の据置期間が認められることがあり、創業直後のキャッシュフローが安定していない時期には、大きな助けとなります


しかしその一方で、据置期間が長いと返済総額(支払利息)が増えてしまうリスクもあるため、安易に「長く取ればいい」と考えるのは危険です。事業計画や資金繰りに応じて、適切な期間を見極めることが重要です。


本記事では、・据置期間の基本的な仕組みメリット・デメリット活用のコツや注意点をわかりやすく解説していきます。


また、創業融資の申請に慣れていない方や、計画書の作成に不安を感じる方には、専門家による「創業融資サポート」や「無料相談」もご案内しています。ぜひ最後までご覧いただき、安心して創業の第一歩を踏み出してください。



創業融資における据置期間とは?


創業融資における「据置期間(すえおききかん)」とは、借入後すぐに元金(借りた金額)の返済を始めるのではなく、一定期間は利息のみを支払い、元金の返済を猶予できる期間のことです。


たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や「新規開業資金」では、融資の返済期間内で最長5年の据置期間を設けることが可能です(実際の期間は事業内容や借入額によって変動します)。


この据置期間の特徴は、次のとおりです。


  • 元金返済の開始を遅らせることで、創業初期の資金繰りにゆとりが生まれる

  • 据置期間中は利息のみ支払えばよく、毎月の返済負担を抑えられる

  • 事業の収益が安定してから本格的な返済をスタートできる


つまり、据置期間は「創業初期の経営リスクを減らすための仕組み」といえるでしょう。ただし、後のセクションで詳しく述べるように、据置期間を設けることにはメリットだけでなくデメリットも存在します


創業融資の計画を立てるうえで、据置期間をどう設定するかは、事業全体の資金計画に大きな影響を及ぼす重要なポイントです。「どのくらいの期間が適切か分からない」「金融機関との交渉が不安」という方は、専門家に相談することでスムーズに計画を進めることができます



据置期間を設けるメリット

創業融資において据置期間を設ける最大のメリットは、創業初期の資金繰りを安定させられることです。


創業直後は、設備投資や仕入れ、人件費などの初期コストが多く発生する一方で、売上がすぐに安定しないケースがほとんどです。そんな中、融資の返済が始まってしまうと、キャッシュフローに大きな負担がかかり、資金ショートのリスクが高まります。


そこで据置期間を設けることで、次のようなメリットが得られます。


返済開始までに“資金のゆとり”が生まれる

→ 据置期間中は利息のみの支払いで済むため、毎月の支出を抑えられます。売上がまだ立っていない時期でも、経費の支払いなどに資金を回すことが可能です。


利益が出始めてから本格的な返済をスタートできる

→ 返済開始を売上安定後に設定することで、無理なく返済を続けられる体制が整います。創業初期の「売れていない時期」に焦って資金をかき集める必要がなくなります。


経営の選択肢が広がる

→ 資金繰りに余裕ができれば、広告宣伝や人材採用、追加仕入れなど、攻めの経営判断がしやすくなります。据置期間は“時間を買う”選択でもあるのです。


このように、据置期間は「創業融資を成功させるための調整弁」として、非常に有効な制度です。ただし、次に解説するように、据置期間には注意すべきデメリットも存在します。


据置期間を設けるデメリット

据置期間は創業初期の資金繰りを助けてくれる便利な仕組みですが、注意すべきデメリットもあります。むやみに長く設定すると、返済計画全体に悪影響を及ぼす可能性があります。


総返済額(特に利息)が増える

→ 据置期間中は元金の返済がなく、利息のみが発生し続けます。そのため、元金の減りが遅くなり、結果として支払う利息総額が多くなる傾向があります。つまり、据置期間が長いほど「支払総額」が増える可能性があるということです。


据置期間終了後の返済負担が重くなる

→ 据置期間が終わったあとに元金の返済が始まると、月々の返済額が一気に増えるケースがあります。とくに、売上が思ったように伸びていない場合は、返済が大きなプレッシャーになり、資金繰りに苦しむ原因にもなります


事業計画とのズレが生じるおそれ

→ 「据置期間中に事業が軌道に乗るはずだった」と想定していても、計画通りに進まないことは珍しくありません。据置終了時に売上が不十分だと、返済原資が足りなくなり、返済遅延や追加借入が必要になるリスクも考えられます。


このように、据置期間には利点と同時に“後回しにしたリスク”が将来的に重くのしかかる可能性もあります。「据置期間は長ければ長いほど安心」という考えは、返済シミュレーションをして初めてリスクが見えることもあります。


ご自身の事業計画や見込み売上に応じて、慎重に期間を設定することが大切です。不安な場合は、専門家にシミュレーションやアドバイスを依頼するのも賢明な判断です。



据置期間の設定時のポイント

据置期間は、創業融資を活用する上で資金繰りを安定させるための有効な手段です。しかし、ただ漫然と「長めに取っておこう」と決めるのではなく、ご自身の事業計画や返済能力に合わせて慎重に設定することが大切です


ここでは、据置期間を設定する際に意識しておきたい重要なポイントを解説します。


売上や利益が安定するまでの期間を見積もる

→ 創業後すぐに売上が立つとは限りません。いつ頃から収益が安定し始めそうかを具体的に予測し、そのタイミングに合わせて据置期間を設定することが重要です。たとえば、開業後3ヶ月で集客が進む見込みがあるなら、据置期間は3〜6ヶ月程度が現実的なラインといえるでしょう。


借入金額と金利から月々の返済額をシミュレーションする

→ 「いくら借りて」「どれくらいの金利」で「何年で返す」のかによって、据置期間終了後の月々の返済額は大きく変わります据置期間あり/なし両方のケースで返済額を比べてみることが、無理のない返済計画の第一歩です。


長く取りすぎると総利息が増える点に注意

→ 据置期間は「元金を返さない期間」ですので、元金が減らず、利息が積み上がっていきます。「売上が立ちそうだから、そろそろ返済を始めてもいいかな」と思ったら、あえて短めに設定する選択も有効です。


希望どおりの据置期間が設定できるとは限らない

→ 日本政策金融公庫の制度上は、最大5年の据置期間が設定可能ですが、実際の期間は“融資担当者の判断”によって変わることが多いです。事業内容や借入金額によっては、「長い据置期間は認められない」場合もあるため、事前に相談しながら計画を練ることがポイントです。


据置期間の設定は、創業融資の成功可否にも関わる重要な要素です。「自分では判断が難しい」「経験者に意見を聞いてみたい」という方は、創業融資に強い専門家のサポートを受けることで、より現実的な返済計画が立てられます



据置期間の具体例・シミュレーション

据置期間を設定する際、「実際にいくら返済額が変わるのか」「総支払額がどう違うのか」をイメージするのは難しいかもしれません。そこでここでは、実際の金額を使ったシミュレーションを通じて、据置期間の影響をわかりやすくご紹介します。


【ケース1】据置期間なしの場合


  • 借入金額:1,000万円

  • 返済期間:10年(120ヶ月)

  • 金利:年2.0%(元利均等返済)

  • 据置期間:なし(借入翌月から元金返済開始)


この場合、月々の返済額はおよそ 92,000円前後 になります。総支払額(元金+利息)はおよそ 1,103万円程度 です。


【ケース2】据置期間2年(24ヶ月)の場合


  • 借入金額・金利・返済期間:同上

  • 据置期間:2年間(24ヶ月)


据置期間中(最初の24ヶ月)は、利息のみの支払いとなり、月々の返済額はおよそ16,000円程度 に抑えられます。ただし、その後の元金返済は残りの8年間(96ヶ月)で1,000万円を返済する形になるため、据置期間終了後の月々の返済額はおよそ 110,000円程度 に増加します。総支払額はおよそ 1,118万円程度 と、据置期間なしより利息が15万円程度増える計算になります。


シミュレーションから分かること


  • 据置期間中は返済が軽く、資金繰りの安定に役立つ

  • ただし、その分返済期間後半の返済額が重くなる

  • 結果として、利息負担もやや増加する


つまり、「最初に楽をする代わりに、後で負担が増す」というのが据置期間の本質です。短期的な資金繰りに余裕を持たせる代わりに、長期的な返済計画にしっかりと目を向ける必要があります。



よくある質問(FAQ)

創業融資の「据置期間」については、多くの方から似たような疑問や不安の声をいただきます。ここでは、よくある質問をいくつかピックアップし、わかりやすく回答していきます。


Q. 据置期間中は元金の返済はしなくていいのですか?

はい、据置期間中は利息のみの支払いとなり、元金は返済しません。ただし、利息分の支払いは必要なので、「返済ゼロ」ではないことにご注意ください。


Q. 据置期間は必ず設けないといけないのですか?

いいえ、据置期間は任意です。事業計画が順調で、すぐに返済を開始しても資金繰りに支障がなければ、あえて据置期間を設定しないという選択も可能です。


Q. 据置期間を延長することはできますか?

→ 原則として、一度決まった据置期間を延長するのは難しいと考えてください。どうしても延長が必要な場合は、公庫や金融機関との再交渉が必要となり、審査や条件変更の手続きが発生する可能性があります。


Q. 据置期間が長いと審査に不利になりますか?

一概には言えませんが、長すぎる据置期間は「返済能力に懸念がある」と判断される場合もあります。とくに自己資金が少ない場合や、事業の収支予測が弱い場合は、金融機関から慎重な目で見られる可能性があるため注意が必要です。


Q. 自分の事業にとって最適な据置期間はどう決めればいいですか?

事業の売上見込みや資金繰り表をもとに、シミュレーションするのが理想的です。「初期投資が多いか」「回収が早いか」「販路が整っているか」など、さまざまな要素を踏まえて検討する必要があります。不安な方は、創業融資に詳しい専門家のアドバイスを受けることで、最適な据置期間を見極めることができます。


これらのFAQに当てはまらない疑問がある方や、ご自身のケースで不明点がある方は、無料相談をご活用ください。専門家が、あなたの状況に合わせてわかりやすくご案内いたします。



まとめ

創業融資における据置期間は、創業初期の資金繰りを安定させるための非常に有効な制度です。

とくに売上が安定するまでの期間に、元金返済を猶予できることで経営の自由度が高まります。


しかし一方で、据置期間を長く取りすぎると利息総額が増えたり、返済負担が後半に集中したりといったデメリットもあります。


だからこそ、据置期間の設定は以下のようなポイントを押さえて検討しましょう。


・いつから収益が見込めるのか、現実的にシミュレーションする

・短期的な資金繰りと、長期的な返済負担を両面から検討する

・自己判断が難しい場合は専門家に相談する


つまり、据置期間は「安心のための制度」であると同時に、「将来への責任」でもあるのです。

しっかりと情報を整理し、自分の事業に合った形で設定することが、創業融資を成功させる第一歩です。


「自分にとって最適な据置期間がわからない」「シミュレーションの仕方が不安」という方は、創業支援のプロによる無料相談をご活用いただくことで、より確実に前に進むことができます。



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